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【連載】藤浩志 地域と美術のすきまのやもり 43

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藤浩志
2018/01/06
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発見! 33年後に85億!​

  最初のお米のカエルが生まれた頃、妻の妊娠がわかった。当時、僕は33歳。たまたま父親が33歳の時に僕は生まれた。父親は66歳で高齢者と呼ばれる年齢になっていた。生まれてくる子どもが今の僕の年齢になるときに僕は高齢者となる。子どもが生まれることになって、初めて世代を超えて考える視点が芽生えている。33年一世代だな。
 生まれる子どもは父親と母親の遺伝子をランダムだがちょうど半分ずつ受け継いでいるらしい。僕も父と母の両方の遺伝子を受け継ぐ。父もまたその父と母の遺伝子を受け継ぐ。あれ? ということは僕自身を構成する遺伝子には父と母、4人の祖父母、8人の祖祖父母、16人の祖祖祖父母と倍々の数の無数の遺伝子があることになる。
 倍々といえば、青年海外協力隊の訓練所で国際協力の授業の中で聞いた地球環境の変化についての話を思い出す。ある閉じた池の蓮(はす)の葉の増加の物語だ。一年で一枚の蓮の葉が2枚に分かれるとする-というたとえ話。次の年にはそれそれが2枚に分かれるので4枚に、一年たちそれがさらに2枚に分かれ8枚に、16、32、64、128、256、512、1024と増え続ける。11年後、2048枚になった蓮の葉は池の半分を埋めつくす。半分埋まるのに11年、しかし次の1年でその蓮の葉は池全体を埋め尽くし死滅するのだというたとえ話。地球環境はそれぐらいの勢いで変化しているということである。大変だ!
 この数字が興味深かったので無意味に計算を続けてみた。すると33年後、85億枚という蓮の葉の数になる。33年で85億枚か。と思った次の日の新聞の1面記事を見て驚いた。33年後、85億人! 1992年当時、世界人口は54億人だった。その33年後の2025年の世界人口予測が発表され、85億人になるのだという。蓮の葉増加の33年後に85億という数字と世界人口の33年後85億という数字の一致。なんだかすごい発見をした気になって興奮した。(美術家。挿絵も筆者)=2017年8月29日西日本新聞朝刊に掲載=

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