北九州市立美術館 開館50周年記念
足立美術館所蔵 横山大観展
2024/04/06(土) 〜 2024/05/19(日)
09:30 〜 17:30
北九州市立美術館 本館
2024/04/21 |
「横山大観は見るたびに新しい発見があります」。北九州市立美術館本館(同市戸畑区)で開催中の「足立美術館所蔵 横山大観展」。展示品を所蔵する足立美術館(島根県安来市)の織奥かおり学芸課長は、横山大観(1868~1958)の作品の魅力や奥深さをこう表現する。近代美術の開拓者、日本画の大家など大観を語る言葉は時に仰々しく、作品も「古典」と思われがちだが、「今見てもハッとさせられる発想や表現が随所にちりばめられています」。展覧会のどこに注目すれば大観をより楽しめるのか、織奥さんに聞いた。 (聞き手・写真、塩田芳久)
―大観は明治から戦後まで活躍した。令和の今、作品を鑑賞するポイントは?
「大観は日本の風景を描き続けた画家です。見たままを描くのではなく、理想の風景として描いています。美しい日本、理想的な日本が表れた作品はいつの時代も人を引きつける魅力があります」
―近世から近代へ。大観は新しい時代とどう向き合ってきたのか。
「西洋絵画に学び、輪郭をぼかして描く朦朧(もうろう)体という技法を確立しました。当時は批判も多かったようですが、信念を曲げずに追求しています。新しい日本の新しい日本画を描く使命を持ち続けたのでしょう」
―展示品を通して見る「大観らしさ」とは。
「『曳船』は船体を描かず、ピンと張った綱とそれを引く人物で船の存在を感じさせます。富士山を描いた諸作品も雲に覆われているものが多く、隠れている部分に何があるのか想像をかき立てられます。奥行きのある空間を表現した作品も多く、大観独自の視点を感じさせます」
―会場で人気を集めているのが、華やかな六曲一双屏風(びょうぶ)「紅葉」だ。
「注目していただきたいのは、右隻にちりばめられたプラチナです。角度によってキラキラ輝いて見えます。高価なプラチナだと経年劣化することがなく、いつまでも輝き続けます。大観の画材選びは、ずっと先まで鑑賞されることを予見しているかのようです」
「『紅葉』は団体展の『院展』に出品したもの。日本画の停滞を感じていた時期の作品で、伝統的な表現法を用いながら、これまでにないほど鮮やかに、余白をつくらず描くという新しさを組み合わせました。挑戦し続ける姿勢を後進に示した作品でもあります」
―美しい日本庭園で知られる「日本画向き」の足立美術館と違い、世界的な建築家、磯崎新さんが設計した北九州市立美術館本館は現代アートのような建物。そこで見る大観の印象は?
「足立美術館とは全然違う雰囲気なので作品がいつもと違い、ものすごく若返って見えて驚きました。場所に合わせたような輝きを放つのは、大観作品が持つ力なのかもしれませんね」
■足立美術館所蔵 横山大観展
5月19日まで、北九州市立美術館本館。西日本新聞社など主催。同美術館の開館50周年を記念し、足立美術館のコレクションから厳選した50件を展示する。観覧料は一般1700円、高大生1300円、小中生900円。月曜休館(祝休日の場合は開館し、翌日休館)。北九州市立美術館本館=093(882)7777。
=(4月20日付西日本新聞朝刊に掲載)=
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