北九州市立美術館 開館50周年記念
足立美術館所蔵 横山大観展
2024/04/06(土) 〜 2024/05/19(日)
09:30 〜 17:30
北九州市立美術館 本館
2024/04/19 |
本作「紅葉」は、横山大観の作品の中で最も絢爛(けんらん)豪華な大作です。青地に白金(プラチナ)泥で均質に描いたさざ波模様と、白金箔(はく)を撒(ま)いた霞(かすみ)を背景に、力強い幹と枝が伸び、無数の深紅の葉が画面を彩っています。左隻の大部分は紅葉の葉で埋め尽くされ、右隻は清らかな水流とたなびく霞が秋の澄んだ空気を感じさせ、彼方( かなた )へ飛び去ろうとする一羽のセキレイの姿が画面に広がりをもたらしています。
何といっても紅葉の鮮やかな赤が目を引きますが、当初、大観は紅葉の葉を水墨と金泥で描くつもりでした。しかし、京都で良質の朱を見つけたため、濃彩画に変えたといいます。紅葉の葉は、形こそ判で押したように一様に描かれていますが、鮮やかな朱を基調に、焼いて黒みを帯びた朱や、黄、緑を要所に配し、一枚一枚、異なる表情を持たせています。幹には、濃度の違う墨や絵具を合わせて独特のにじみを作る伝統技法「たらし込み」を用いるなど、琳派の研究も生かされた装飾性豊かな作品です。
(北九州市立美術館学芸員・山下理恵)
◇ ◇
北九州市戸畑区の市立美術館本館で「足立美術館所蔵 横山大観展」が5月19日まで開催中。
=(4月19日付西日本新聞朝刊に掲載)=
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