ロートレックと136人の画家展
2020/11/19(木) 〜 2021/01/10(日)
10:00 〜 18:00
佐世保市博物館島瀬美術センター
2020/12/18 |
踊り子の心を写し取る
人気ポスター画家となったロートレックは、生涯にわたりポスター作品を31点制作することになるが、それらは1891年からの5年間に集中している。
西洋絵画の技法に、印象派や日本の浮世絵などの技法を加えることで、単純化された線と大胆な構図による代表作を次々と生み出した時期であった。この後、彼はパリでの長年の不摂生が原因で、1901年に37歳の若さで亡くなってしまう。
「エグランティーヌ嬢一座」は、1896年にロートレックと懇意にしていた人気踊り子ジャヌ・アヴリルが参加した一座に、ロンドン公演のポスターを依頼され制作した。
ステージ上で脚とスカートを高く上げて踊るフレンチ・カンカンの踊り子を、明るい黄色い画面と、斜めに見た構図で表現している。ひだの付いた衣装やスカートを簡単な線と模様で表し、脚のシルエットが目立つように、濃い茶色にしている。
それぞれが人気と実力が1番であるような強い個性と、踊り子のエゴむき出しの表情に注目してほしい。まるで、各自の心の中を写し取っているようであり、実際にこの一座はすぐに不仲になり解散してしまった。
激しい踊りと、それぞれの個性を、しっかりとした観察眼と巧みなデッサンで描き、見る人々にどことなくコミカルな印象を与えるところが、彼の作品の特徴であり、素晴らしさでもある。(福井市美術館学芸員・河野泰久)
=(12月10日付西日本新聞朝刊長崎県版に掲載)=
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