江口寿史展
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福岡アジア美術館
2020/08/20 |
アニメ「ファインディング・ニモ」「トイ・ストーリー」などを手掛けたピクサーの技術を紹介する「PIXARのひみつ展 いのちを生みだすサイエンス」が福岡市早良区の市博物館で開催されている。見どころを3回に分けて紹介する。
感性に訴えるCG表現
モンスターと少女の交流を描いた2001年公開のアニメ「モンスターズ・インク」は、精密な映像で世界を驚かせた。なかでも主人公のモンスター「サリー」のふさふさした体毛は、実写と錯覚するほどだ。
制作した米国のピクサー・アニメーション・スタジオによると、体毛は約230万本に上り、キャラクター自身の陰影や、体の動きに合わせたなびき方にも気を配っている。それを可能にしたのがCGの技術だ。
CGが登場するまでのアニメは、透明なフィルムに手描きした絵を1こまずつ撮影し、これを連続再生することで動きを表現してきた。ピクサーが、世界初の長編フルCGアニメ「トイ・ストーリー」を世に送り出したのが1995年。コンピューターの活用によって、手描きでは無理な繊細かつ複雑な表現も可能になった。今や実写をアニメに変換する技術「モーションキャプチャー」もある。
ただピクサーは、モーションキャプチャーを限定的にしか使わない。その理由を次のように説明する。
「私たちの目標はリアリズム(写実主義)ではなく、感性に訴えること。感情を表現するために、キャラクターをかなり戯画化する」。ゴムのように長く伸びる腕、目にも止まらぬ素早い逃げ足―。ピクサーは、現実にはあり得ない誇張した表現も織り交ぜて観客を物語に引き込む。
新たな表現の地平を切り開いたのは、数学やプログラミングといった科学が凝縮されたCG技術なのだ。(大淵龍生)
=8月18日付西日本新聞朝刊に掲載=
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