富野由悠季の世界 -ガンダム、イデオン、そして今
2019/06/22(土) 〜 2019/09/01(日)
09:30 〜 17:30
福岡市美術館
2019/08/09 |
「富野由悠季の世界 -ガンダム、イデオン、そして今」展は福岡市を皮切りに、兵庫、島根、青森、富山、静岡の6カ所の地方都市で開かれる巡回展(開催予定の会場も含む)。開催に向けて、山口さんら巡回する6美術館の学芸員7人が尽力した。23日から山口さん以外の6人が「イチ押し」する展示作品を4回にわたって紹介する。
「機動戦士ガンダム」(1979年)など多くのアニメーションで総監督を務めた巨匠、富野由悠季(よしゆき)氏(77)の初となる展覧会「富野由悠季の世界」が福岡市で開かれている。富野氏本人は当初、展覧会の開催には消極的だったという。実現にこぎつけたのは、富野ファンや「ガンダム愛」を自任する地方の学芸員たちの熱意だった。
福岡市美術館で学芸係長を務める山口洋三さん(49)は3年前、学芸員仲間である青森県立美術館の工藤健志(たけし)さん(52)から富野展の構想の相談を受けた。富野氏がそれまで個展を開いた実績はなかった。「無理だろうか」と思いつつ、2人で富野氏を訪ねた。
案の定、富野氏は「演出という仕事は観念的な作業。展示するものがない」と一蹴。だが、1度断られたぐらいで諦めるつもりは全くなかったという。
山口さんは少年時代を長崎市で過ごした。当時は地方民放局が少なく、「機動戦士ガンダム」のテレビ放映は半年遅れだった。初めてガンダムの全編を見たのは第42話から。「今までのアニメとはどこか違う。続きが楽しみ」と期待していたところ、次週は最終回との画面表示に面食らった。
「機動戦士ガンダム」は放映当初は視聴率が低迷。52話の予定が43話で打ち切りになったことは知る由もなかった。ところが「ガンプラ」と呼ばれたプラモデルの発売、劇場版制作などでガンダムブームに一気に火が付く。友人から誕生日祝いに贈られた100分の1ガンプラと12色塗料セットで、山口さんもガンダムにのめり込んだ。
福岡市美術館では現代美術を担当する。ガンダムファンである以上に「アニメは文化の一角を占めるほどに成長した」と肌で感じている。機会があるたびに富野氏を説得し続けたという。最初は「ない」と言い張った資料も粘り腰のかいもあって10箱ほど見せてくれた。「これなら展覧会ができる」と確信したという。
山口さんの「イチ押し展示」は、テレビ版「機動戦士ガンダム」の自筆企画・設定メモ。宇宙移民の規模、政治状況、地球連邦軍の組織などが細かな文字でびっしり書き込まれている。山口さんは「画面に映らない時代背景まで突き詰めて考えている。アニメも手間暇掛けて作っていることを知ってほしい」。展覧会の狙いについて目を輝かせて語った。 (大西直人)=7月20日 西日本新聞朝刊に掲載=
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