コトバ動物園
2017/02/11(土) 〜 2017/05/07(日)
福岡市動物園内「旧マレーグマ舎」
アルトネ編集部 2017/05/03 |
福岡市動物園でちょっと変ったインスタレーションが展開されているのをご存知だろうか?好評でゴールデンウィークまで期間を延長した「コトバ動物園」。そのみどころについて、同園スタッフの豊田彩子氏に寄稿いただいた。(編集部)
福岡市動物園で開催中の「コトバ動物園」。
リニューアルが進む福岡市動物園の空き獣舎に、人間の行動を動物の生態とシンクロさせた「コトバ」の巨大パネルを展示している。
いわゆるSNSでの宣伝効果を狙った、最近よく見かける“つい撮影をしたくなるパネル”的なものの変形だ。
さらに、この「コトバ」のパネルは、そのフレームに人間がたたずむことで私的なメッセージになる仕掛けとなっている。
「コトバ」を手掛けたのはJR博多シティの「ウルトラの母」が登場する「シャレトンシュワッ」の広告や「楽天カードマン」、広島県の「おしい!広島県」などでおなじみのコピーライター、岡田賢氏によるもの。なるほど、見ただけでクスリとしてしまう「コトバ」はプロの手によるものだからか。
ここまでならクリエイターを起用した企画もの程度で、他に語ることはそうないだろう。
おもしろいのは、この獣舎へ足を踏み入れれば、誰しもが自然と「写真を撮る」という行動に出てしまい、マレーグマが暮らしていた獣舎での展示だけに、そんな様子を上から誰かに見られてしまう、という点だ。
園内で飼育展示してある動物たちを観察するように、獣舎の中でスマホ片手にポースをとり、撮影し合う「人間」たちの行動展示にもなっている。
他の動物に比べ、人間は「コミュニケーション能力」が発達している。
身振り、手話、文字、音声、など様々なツールを操るのはもちろんのこと、その最たる部分はそれら異なる伝達手段を混在させながら、相手の反応を予測し,多角的にコミュニケーションができること。
更にスマホが浸透している現代、メールやSNSなどを介し、コミュニケーションの種類はより直感的に、かつ複雑に伝え合うことが可能になっている。
そんな時代を映し出すような、この展示のメインキャッチコピーは「にんげんもどうぶつだもの」。
「動物園」が家族連れや子ども、カップルなど、様々な世代が集う場所だけに、コトバの前で楽しそうに写真撮影をする来園者たち自身が「動物」となり、展示の一部ともなる。動物園初の試みとあって、そんな偶然にもインスタレーションの要素が含まれた展示となっている。
とはいえ動物園なのだから主役はもちろん動物たちである。
動物たちに親しんだ後には「コトバ動物園」で、ぜひ動物の気分を味わってほしい。
備考:「コトバ動物園」(恋編、卒業編)は第56回福岡広告協会賞アーバンアド部門で金賞を受賞した。
豊田 彩子(とよだ・あやこ)
1974年福岡生まれ。
映像、デザイン、ライター業を経て現在、福岡市動物園の広報スタッフとして動物たちの魅力を発信するべく奮闘中。
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