特別展 「大灯籠絵」
2024/09/13(金) 〜 2024/11/04(月)
09:30 〜 17:30
福岡市博物館
アルトネ編集部 2024/09/25 |
畳4畳ほどの巨大な灯り「大灯籠」と、博多周辺で活動する浮世絵師や絵馬師が、そこに描いた武者絵や説話の一説などの「大灯籠絵」に注目した展覧会が、福岡市博物館で(11月4日まで)開催されています。
これらの「大灯籠」や「大灯籠絵」は、博多湾沿岸の町内で神仏の夏祭りに道辻に飾られてきたもの。本展では、博多、箱崎、唐人町、黒門、千代、今宿といった地域で、年に一度、限られた数日間のみ飾られる「大灯籠絵」が大集結。壮大かつ華麗な巨大スクリーンの数々がずらりと並ぶ展覧会です。
祭りを彩る!ダイナミックな構図×灯りが、夜のまちに賑わいをもたらす。
会場に入ると、作品の大きさとダイナミックさに圧倒されます。
巨大な画面に描かれるのは、歴史上の有名な武将や英雄が、画面いっぱいに躍動する姿。語り継がれてきた合戦の一場面や、説話のワンシーンが、ドラマティックに描きつくされている「大灯籠絵」は、劇画さながらの迫力です。生き生きとした描線や色彩が、光の効果によってより鮮やかに照らし出されています。
「大灯籠」は多くが死者を弔う行事の中で飾られてきました。会場では、「大灯籠」や「大灯籠絵」のほか、地域に伝わる仏像や仏画も展示されています。死者を弔う施餓鬼行事を記録した映像、解説等の資料によって、古く明治、大正時代から引き継がれ、今も息づく風習のあり方がわかりやすく紹介されています。
福岡を地盤にさまざまなシーンで活躍した絵師たち
「大灯籠絵」を描いた絵師にスポットを当てた最終章では、福岡という土地を舞台に、八面六臂の活躍をする絵師の姿が見えてきます。
教育関連の書籍や新聞小説の挿絵等、明治時代の新しい生活社会と関わる仕事も積極的に行ったという一得斎高清、博多祇園山笠図や櫛田神社奉納の絵馬を手掛ける等「博多の絵師」として活躍した海老﨑雪渓、サーカスや見世物小屋の看板等も手掛けたという初代 白水耕雲、玉屋デパートで商業美術にも携わり続けたという2代 白水耕雲。
時代の要請に柔軟に対応しながら、それぞれの絵師の個性がいかんなく発揮された足跡の数々が紹介されています。
2021年から3年以上におよぶ調査を経て、次々と作品が再発見され、現在、市内に60点以上の現存が確認されているという「大灯籠絵」。しかし、そのはじまりはいつだったのかなど、まだわかっていないことも多いといいます。
地域における小さなコミュニティに息づく風習だからこそ、時代とともにかたちが変わり、ときに過去の制作物や習わしが損なわれてしまうこともあるかもしれません。今、地域文化を再発見し、見つめ直すことで、紡ぐことのできる宝ものがここにあるということを感じさせてくれる展覧会でした。
◇◇
特別展「大灯籠絵展」は11月4日まで。福岡市早良区の福岡市博物館。
公式ホームページはこちらから→特別展 「大灯籠絵」 | 特別展示 | 展示・体験学習室 | 福岡市博物館 (city.fukuoka.jp)
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