江口寿史展
EGUCHI in ASIA
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
大迫章代 2017/12/27 |
三菱地所アルティアムにて1/14まで開催中の「鈴木マサルのテキスタイル展 目に見えるもの、すべて色柄」。こちらは、Marimekko(マリメッコ)のテキスタイルデザインを手がけるなど日本でいま最も注目されているテキスタイルデザイナー、鈴木マサルさんの九州初となる個展。自身のブランド「OTTAIPNU(オッタイピイヌ)」や、Camper、UNIQLOとのコラボなどで、色鮮やかなハンドプリントを中心に独自のコレクションを展開する鈴木さんに、そのカラフルで心躍る「色柄」の世界について聞きました。
Q:会場内のチラシ(RED、YELLOW、BLUEなど6種類が設置)の中に、「かつて色を使うのが苦手でまったく色感が鈍かった」という一文を見つけ意外でした。鈴木さんが、「色」に目覚めたのはいつでしょう?
鈴木:多摩美術大学を卒業し、粟辻博(※)デザイン室で働いていた頃です。スタッフが、似たようなベージュでも、微妙な色合いの違いでどれを使うかの“色決め”しているのにまったくついて行けず、ヤバイと思い、色の勉強を始めました。それまでの僕は、色彩感覚がないというか、色を使うことから逃げていたようなところがありました。まずは恩師(故・粟辻氏)の教えで、単純にきれいだと思った印刷物などを目に見えるにように貼っておくようにしました。色感がいい人というのは、きっといろんな色に囲まれ、美しい色を多く見ている人のこと。それでも長い間、色には苦手意志が強くて。色使いを自分のストロング・ポイントだと思えるようになったのは、ここ10年ほどのことです。
Q:鈴木さんが色使いでこだわっていることは?
鈴木:毎回違う色の組み合わせにチャレンジすること。一回やってうまくいった色の組み合わせはなるべく使わず、一回一回使ったことがない色を組み合わせて、なるべくたくさん色を使うようにしています。
Q:「柄」については、どうでしょう。植物や動物のモチーフが多いように思いますが。
鈴木:もともと動物のモチーフが好きということもありますが、柄については、それほどこだわりはないんです。ただ、無地じゃつまらない。僕は、色も柄も役割だと思っていて、リラックスしたい時には、リラックスできる色やモチーフがある。でも僕自身のブランドは「人の気持ちを高揚させるもの」というコンセプトでつくっているので、伝達力のある柄や、気持ちを盛り上げる色というものが、僕のテキスタイルにとっては欠かせません。
Q:テキスタイルデザインに目覚めたきっかけがマリメッコとのことですが、マリメッコに惹かれた理由は?また、憧れのマリメッコと仕事をしている感想を聞かせてください。
鈴木:日本のテキスタイルデザインというのは、背景となることを前提とした無地的な物が多いのですが、マリメッコのデザインは色柄があって、むしろそれが主役であるようなものが多く、その生地が一体何に使われるのかさっぱり分からない。そんなテキスタイルの存在にまず驚いたと同時に、かっこいいなと思いました。一緒に仕事をしてみた感想は…実は今だに実感が無く、人ごとのように今でも思っています。コミュニケーションを含め、いろいろともどかしさや精神的なつらさもありますが、自分のテリトリーを出て、力を試す機会ということもあり、毎回いろいろ考えてデザインを提案しています。
Q:最後に、読者のみなさんにメッセージをお願いします。
鈴木:もちろん、生活の中で長く使えるデザインや色というものはあるし、それを選ぶことは間違いじゃない。ただ、そればかりだと楽しくないし、生活がしょぼくれちゃう。きれいだと思ったものを素直に受け入れ、身の回りに置いたり、身につけたりする楽しさって、絶対にあると思うんです。たまに失敗したりもしますけど、それはそれでいいじゃないですか(笑)。今回の展覧会は、視界に入るすべてに「色」と「柄」があふれる、いわば「非日常」の空間です。そんな空間に身を置く機会はあまりないと思います。ですから、そういう「非日常」をちょっとでも「日常」に持って帰って、みなさんの生活が少しでも楽しくなると、うれしいなと思っています。
ファブリックや傘などカラフルなコレクションの中に身をゆだねていると、なんだか気分までポジティブになり、これまでは手を伸ばせなかったような「色柄」のアイテムを手に取りたくなるから不思議だ。期間中はOTTAIPNUのポップアップショップもオープン。もし、心惹かれる「非日常」を見つけたら、迷わず日常に持ち帰ってみよう。
※粟辻博…昭和・平成期に活躍したテキスタイルデザイナー。大胆で斬新な模様のテキスタイルを次々に発表し、日本のテキスタイルデザインを世界的な水準にまで引き上げた。
鈴木マサル
1968年千葉県生まれ。多摩美術大学染織デザイン科卒業後、粟辻博デザイン室に勤務。1995年に独立。2002年有限会社ウンピアット設立。2004年からファブリックブランドOTTAIPNUを主宰。フィンランドのMarimekkoやLAPUAN KANKURITのテキスタイルデザインを手がけるほか、Camper、UNIQLO、familiar、Zoff、Arflex Japanらブランドとのコラボレーション、空間インスタレーションなど、その活動は多岐にわたる。
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
2025/01/21(火) 〜 2025/05/11(日)
九州国立博物館
2024/11/23(土) 〜 2024/12/07(土)
福岡市美術館 2階 特別展示室入口付近
2024/12/07(土)
福岡市美術館 1階 ミュージアムホール
2024/10/05(土) 〜 2024/12/08(日)
熊本市現代美術館