江口寿史展
EGUCHI in ASIA
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
2024/07/25 |
さまざまな仕掛け 絵本の世界を表現 「作者側が全面協力」
米国の名作児童文学「エルマーのぼうけん」シリーズの魅力を紹介する「おいでよ!夏の美術館vol.1 エルマーのぼうけん展」(西日本新聞社など主催)が、福岡市博多区の福岡アジア美術館で開かれている。同シリーズにほれ込み、展覧会を企画したブルーシープ(東京)の草刈大介代表に見どころや裏話などを聞いた。 (文・相良誠、写真・石田禎裕)
―エルマーや竜を描いた挿絵の原画や作者のルース・スタイルス・ガネットさんの創作ノートなど約240点が展示されている。
「何よりもまず挿絵の原画を見てください。本当に素晴らしいです。先に巡回展を開催した東京や兵庫でも、原画が繊細で美しいと驚く声が多々ありました」
―ワニの背に乗ったり、竜がいる洞窟に入ったりと、作品世界を体験できるさまざまな仕掛けもある。
「エルマーシリーズは、挿絵が想像力をかき立てる作品です。子連れの方はぜひ来場前に読み聞かせをしてください。展示をより楽しめます」
―冒険をテーマに著名人がお薦めする本を集めた「ぼうけん図書館」では、その場で自由に本が読める。
「子どもたちに新たな本と出合ってもらおうと、さまざまな分野で活躍する人が、子ども向けにこだわらず選書しています」
―シリーズの魅力は。
「人それぞれだと思いますが、私はエルマーがトラブルに遭遇した時の身の処し方が好きです。ジャングルでトラに出合うと、トラにガムを食べさせている間に逃げ出します。最近の漫画などでは、主人公に備わった特殊な能力で正面突破をする物語が多いですが、エルマーはちょっとした機転でうまくかわします。そのしなやかさがかわいらしく魅力的です」
―ガネットさんは今年6月に100歳で亡くなった。生前に交流は。
「残念ながらガネットさんは高齢のため数年前から施設に入っていて、直接話す機会はありませんでした。ガネットさんには7人の娘さんがいて、彼女たちが連絡の窓口でした」
―展覧会の開催に当たって大変だった点は。
「驚くほど苦労はありませんでした。一般的に、作品の権利者とのやりとりには困難が付きものですが、娘さんたちに企画を伝えると喜んでくれて、全面的に協力してもらいました。『こんなチラシやポスターを作りたい』『博多ラーメンや博多どんたくをモチーフにした福岡展オリジナルのエルマーイラストを描きたい』など、こちらが相談するたびに『すごくいいアイデア』と言っていただいた。否定的な返事は1回もなかったように思います。エルマーの家族とやりとりをしている気分でした」
「原画は、児童文学のコレクションで有名な米国のミネソタ大の図書館が管理していますが、日本の読者に喜んでほしいとすぐに許可が出ました。展覧会の運営スタッフも作品が好きな人ばかりで、積極的に関わってもらいました。展覧会を開催するニュースが流れた時には『待ってました』と歓迎する声を多数受け取りました。作者、私たちスタッフ、そして来場者の全員が待ち望んでいた展覧会だと感じています」
■おいでよ!夏の美術館vol.1 エルマーのぼうけん展
8月25日まで、福岡アジア美術館。入場料は一般1400円、高大生1000円、小中生700円、未就学児無料。西日本新聞イベントサービス=092(711)5491(平日午前9時半~午後5時半)。
=(7月25日付西日本新聞朝刊に掲載)=
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