国立カイロ博物館所蔵
黄金のファラオと大ピラミッド展
2017/07/08(土) 〜 2017/08/27(日)
09:30 〜 17:30
福岡市博物館
西山 健太郎 2017/08/10 |
福岡市博物館の夏季夜間開館(トワイライトミュージアム)に合わせて、同館の2階喫茶室でスコットランド産シングルモルトウイスキーを提供するイベント「ミュージアムバー」がスタートした。そこで、「ミュージアムバー」をプロデュースした樋⼝⼀幸さん(ウイスキートーク福岡実⾏委員⻑、Bar Higuchi オーナーバーテンダー)にお話を伺った。
――博物館でウイスキーを提供する、という発想はかなり斬新に感じたのですが。
近年のハイボールブームなどにより、ウイスキーを⼝にする⼈はかなり増えましたが、まだまだその愉しみ⽅を知っている⼈は多くないように思います。同様に、⽇常的にBarへ訪れる習慣がある方もまだまだ少ないのが現状です。そうしたなか、たくさんのお客さまが訪れる博物館の喫茶室で、ウイスキーの魅力の一端に触れていただけたら、という発想から提案させていただいたのが今回の企画、「ミュージアムバー」です。
――提供されている「シングルモルトウイスキー」というのは普通のウイスキーではないのですか?
昭和の時代から⽇本でよく飲まれてきたのは「ブレンデッドウイスキー」といわれる、数十種類のモルト原酒と2〜3種類のグレーン原酒を配合したものです。グレーンの比率が多いほどお手頃な価格で、モルトの比率が高いほどプレミアム感が出ます。手間と時間がかかるモルト(大麦麦芽)ウイスキーに、大量生産が可能なトウモロコシ・小麦・ライ麦などのグレーン(穀物)ウイスキーを合わせるという、クラッシック音楽でいえば、“オーケストラ”的なウイスキーです。
一方、「シングルモルトウイスキー」は、“単一”の蒸留所という意味の“シングル”で、その蒸留所独自の個性がいかんなく発揮されたモルトウイスキーのこと。オーケストラではなく、ピアノやトランペット、ヴァイオリンなどのいわば“ソロ”。近年、世界で空前のブームとなっている理由が、単一の蒸留所であっても一樽(カスク)ごとにそのアロマやフレーバーが異なる「シングルカスク」まで深掘りすることができる、その多様性にあります。同じ楽器でも奏者が違えば趣が全く異なって聴こえることに似ているでしょうか。
こうしてみると、ウイスキーと芸術とは、どこか通じるところがあると思いませんか?
――なるほど、ウイスキーは奥が深いですね。それでは、今回セレクトされた3種類のウイスキーについて教えていただけますか?
⼀本⽬は、スコットランドの北部、ハイランド地⽅で産出される「グレンモーレンジィ オリジナル」です。通常ウイスキーは “軟⽔” で作られることが多いのですが、このウイスキーは “硬水” で作られており、柑橘類を思わせるフレッシュな⾵味が特徴です。
⼆本⽬は、スコットランド北⻄部に浮かぶスカイ島で産出される「タリスカー ストーム」です。黒胡椒の⼒強い⾹りとスモーキーな⽢さが特徴で、『宝島』の著者であるロバート・ルイス・スティーブンソンは、このウイスキーを「King of Drinks(酒の王様)」と評しました。
三本⽬は、スコットランド南⻄部に浮かぶアイラ島で産出される「ラガヴーリン 16年」です。“アイラの巨⼈”と称され、大変スモーキーで、ヨード、海草などの「海」の要素を含んだ風味とボディの厚さが特徴です。
――新しい飲み⽅の提案もされていますね。
今回は、3種類のウイスキーをストレートで10mlずつ提供するテイスティングセットのほか、ひと⼿間加えた “ミュージアムハイボール” を提供しています。通常はBarでしか味わえないスコットランド産シングルモルトウイスキーをぜひ体験してみてください。
――最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。
「ミュージアムバー」で好みの味わいのシングルモルトに出会ったら、ぜひBarへ⾜を運んでいただきたいですね。美術館やギャラリーでお気に⼊りの作家や作品と出逢うのと同じ感覚で、 あなたが愛する⼀本に出会っていただきたいと思います。
――本日はありがとうございました。ミュージアムと洋酒のコラボ企画。今後も期待しています。
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「ミュージアムバー」は「黄金のファラオと大ピラミッド展」会期中に福岡市博物館2階喫茶室で毎日お楽しみいただけます。福岡市博物館HPの情報もあわせてご覧ください。(編集部)
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