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独眼竜が来た 福岡市博物館<下>            鉄砲玉に耐える防御力【コラム】

2022/10/28 LINE はてなブックマーク facebook Twitter
伊達政宗が愛用した「黒漆五枚胴具足」

 伊達政宗と言えば、三日月の前立(まえだて)を付けた漆黒の鎧(よろい)を思い浮かべる方も多いはず。実はこの鎧には、政宗自身のこだわりがぎっしりと詰まっています。

 まず特筆されるのは、同時代の鎧と比べて圧倒的に頑丈に造られている点。5枚の鉄板で構成される胴は厚みが最大で5ミリあり、兜(かぶと)を含めた総重量は21キロ以上。鉄砲玉にも耐える防御力を重視した仕様です。5枚の胴は蝶番(ちょうつがい)の銓(せん)を抜くと分解でき、持ち運びやメンテナンスにも優れています。

 その一方、着用した際の動きにくさという弱点も併せ持っていました。政宗自身も馬から下りて軽装の者と戦う不利を家臣に語ったと伝えられています。

 当時の合戦は徒歩戦が主体で運動性に優れた軽量の鎧が好まれました。しかし、東国では依然、平安時代以来の騎馬戦の伝統が残っていました。政宗が重厚な鎧を好んだ背景には自身のルーツへのこだわりも関係しているようです。

 福岡初公開となる政宗の鎧。ぜひ実物をご覧いただき、政宗の人柄を身近に感じてください。 (福岡市博物館学芸員・末吉武史) 

             ◇    ◇    ◇

 福岡市早良区の市博物館で11月27日まで特別展「独眼竜 伊達政宗」が開催中。

=(10月28日付西日本新聞朝刊に掲載)=

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