生誕100年記念 阿部平臣展
~ふるさとに根ざし、描いたもの~
2021/04/08(木) 〜 2021/05/09(日)
09:30 〜 17:30
田川市美術館
2021/04/16 |
田川市美術館で開催中の「生誕100年記念 阿部平臣展~ふるさとに根ざし、描いたもの~」。本展を田川市美術館 原田歩夢学芸員より紹介いただきました。
阿部平臣(1920-2006)は、直方市感田に生まれます。東京美術学校(現・東京藝術大学)に進学し、南薫造教室にて絵画を学んだあと、地元直方に戻り後進の育成に尽力しながらも、自身の作品も精力的に描き続けた画家です。そんな平臣の生誕100年を記念し、本展では平臣のライフワークとなった中近東シリーズをはじめ、学生の頃に描いた作品や抽象作品、また資料などを通して、平臣の生涯をご覧いただける展示となっています。
平臣は、中近東の人々の生活の姿を描いた作風が有名なのですが、初めの頃は、抽象的な作品が多く、形と形を組み合わせたデザイン的な作風や、絵の具を筆から飛ばして描いた激しい画風の作品を描いていました。平臣が中近東シリーズを描き始めたのは、彼が44歳の時に約1年間、海外を見て回ったことがきっかけです。実際に中近東の絵を描き始めたのは8年後、教職をやめた52歳からです。油彩で描かれた画面は、重厚な見た目に見えますが、実際はごく薄く溶いた絵の具を何度も重ねることで描かれているため、非常に軽やかな画面作りとなっています。キラキラと輝くような絵肌は白い絵の具に大理石を混ぜて作られたもので、水と油の弾きの関係を利用して描かれた画面作りからは、初期作品の影響も感じられます。平臣は中近東の人々について「自然に抱擁された生活や、人々の精悍な顔立ちをうらやましく思った」などと語っており、中近東の人々の生き方そのものを作品に描き出しました。このシリーズの作品は文化庁の買い上げ作品にも選ばれています。独特の時間の流れや空気感は、ぜひ足を運んで実際にご覧いただきたいです。
また、当館と共同開催で、直方谷尾美術館では「生誕100年記念 阿部平臣展 知られざる思い出達」と題し、中近東シリーズのほか、普段ご覧いただけない個人蔵の作品なども展示されています。(現在開幕中~5月30日まで)さらに、本展を後援いただいている東京の戸嶋靖昌記念館でも「風の旅路展」という題のもと、阿部平臣の作品を展示しています。(開幕中~6月26日まで)平臣の生誕100年を記念し、3館で同時期に開催されている展覧会、ぜひあわせてお楽しみいただければ幸いです。
(田川市美術館 学芸員 原田歩夢)
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