江口寿史展
EGUCHI in ASIA
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
2020/11/05 |
2017年に世界遺産に登録された「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」。その最新の研究成果を福岡県内五つの博物館・資料館が連携し、紹介する初めての合同企画展「ムナカタ―祈り・暮らし・交わり―」が開かれている。それぞれの施設の「古代ムナカタと九州」を紹介する。各施設の開催期間、入館料などは「世界遺産『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」公式サイト
古代海人の生活しのぶ 海の道むなかた館(宗像市深田)
世界遺産ガイダンス施設海の道むなかた館(宗像市深田)のテーマは「古代ムナカタ海人の世界」。沖ノ島で4世紀後半から9世紀にかけて古代祭祀(さいし)を支えていた古代ムナカタ海人たちの暮らしを、イラストや漫画も交えて分かりやすく解説する。
古代海人の実態はこれまで多くの謎に包まれていたが、近年の海浜集落や古墳の発掘調査によって徐々に活動が明らかになっている。古墳からは、鉄製のヤスやアワビオコシ状鉄器など漁労具のほか、よろいなど武具の副葬品が見つかっており、海の武装集団の役目も担っていたとみられる。
いにしえのガラス輝く 宗像大社神宝館(宗像市田島)
沖ノ島から出土した約8万点の国宝を収蔵する宗像大社神宝館(宗像市田島)のテーマは「神々への美宝」。5千点を超えるガラス製品の中には、サーサーン朝ペルシャ帝国(3~7世紀)で作られたサーサーン・ガラスも含まれる。青や赤、黄色の美しいガラス製玉類は今も輝きを失わず、古代人が身にまとっていた当時の美しさを今に伝える。
銅鏡の展示は、鏡背面のひもをつり下げる「鈕(ちゅう)」周辺の文様がよく分かるように拡大コピーも展示。神獣や神人などが繊細な加工で施されており、加工技術の高さが分かる。
「宗像君」の古墳群解説 福津市歴史資料館(福津市津屋崎)
福津市総合文化センター(福津市津屋崎1丁目)内の市歴史資料館は「新原・奴山古墳群調査研究の現在」をテーマにしている。沖ノ島祭祀を担い、ムナカタ三女神信仰を育んだ古代豪族、宗像君(むなかたのきみ)の墳墓群の蓄積してきた調査結果を分かりやすく解説。刀子(とうす)や鉄鏃(てつぞく)、馬具などの出土品を展示している。
2015年の調査で、1号墳の天井に使われた玄武岩は、古墳群から約15キロ離れた相島(福岡県新宮町)から運ばれた巨石と判明。出土したガラス玉を分析したところ、西・中央アジアや東南アジア製で海を渡って運ばれてきた。
祭祀の実像 刀から迫る 九州国立博物館(太宰府市石坂)
九州国立博物館(太宰府市石坂4丁目)は、沖ノ島の出土品のうち「宗像海人の刀」に着目。刀を通して海人の鉄器生産や沖ノ島祭祀の実像に迫る。
大規模な国家祭祀があった古墳時代の刀は刀身に反りがない真っすぐな直刀で「太刀(たち)」と呼ばれる。沖ノ島の祭祀遺跡の岩上や岩陰から100点以上の破片が出土している。太刀以外に万能ナイフに相当する刀子も見つかっている。
宗像君が葬られたとみられる勝浦峯ノ畑遺跡(福津市)から出土した太刀は、柄の有機質部材が良好に残り、宗像君がどのような太刀を持っていたかが分かる。
福岡の豪族 姿読み解く 九州歴史資料館(小郡市三沢)
古代の福岡には宗像君のほか秦氏(はたうじ)、筑紫君(つくしのきみ)、水沼君(みずぬまのきみ)、的氏(いくはうじ)の五つの古代豪族がいた。九州歴史資料館(小郡市三沢)は「福岡の古代豪族」にスポットライトを当て、特徴的な出土品から豪族たちの姿を読み解く。
宗像市と福津市の遺跡からは、数多くの朝鮮半島系土器が見つかっている。竪穴建物(住居跡)の形状も朝鮮半島と共通する要素がある可能性が指摘されており、古墳時代の宗像地域は朝鮮半島と盛んな交流があったとみられる。
長らく実態が分からなかった筑後川下流域の水沼君の土器なども展示している。(床波昌雄)
=(10月28日付西日本新聞朝刊に掲載)=
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
2025/01/21(火) 〜 2025/05/11(日)
九州国立博物館
2024/11/23(土) 〜 2024/12/07(土)
福岡市美術館 2階 特別展示室入口付近
2024/12/07(土)
福岡市美術館 1階 ミュージアムホール
2024/10/05(土) 〜 2024/12/08(日)
熊本市現代美術館