いつでもどこでもお話の世界へ　「絵本ミュージアム」オンライン開催<３>

　２００７年から毎年夏休み期間に開かれてきた「ＮＴＴ西日本スペシャル　おいでよ！絵本ミュージアム」（西日本新聞社など主催）。今年は、新型コロナウイルス感染拡大を受け、「おうちで！絵本ミュージアム」と銘打ち初のオンライン展覧会として開催中だ。絵本の世界を再現した展示などを通してその魅力を伝えたい―。この理念を大切にしつつ、人々が広くつながるネットの世界で新たなチャレンジに取り組んだ担当者に、工夫や苦心、オンラインに見いだした可能性を聞いた。

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能動的に参加して　ＳＮＳで作品を見せっこ
キービジュアルなど担当　中村至男さん

　昨年の絵本ミュージアムに初めて参加し、私の著書「どっとこ　どうぶつえん」にちなみ、正方形の色紙を使って絵を作るワークショップの講師を務めました。子どもたちの生き生きとした表情が印象に残っています。

　自分で考えて作り、それを他の人に見せて反応を知るという作業は、子どもにとって大切な体験だと思います。今回のオンラインでも、「能動的に参加する」ことを念頭に置き、自分で「どっとこどうぶつ」を作れるコンテンツを紹介しています。作品は立体化させ、目の前の風景に重ねる拡張現実（ＡＲ）の技術を利用して写真を撮ることができます。会員制交流サイト（ＳＮＳ）で投稿できるので、作品を見せ合うこともできます。

　サイトのキービジュアルも担当しました。コロナ禍の中、「明るく開放的な気分になってもらいたい」と、背景を黄色にし、公園の遊具や広場をイメージするような絵を描きました。ネット空間を自由に行き来しながら、オンライン展覧会を楽しんでほしいです。（藤村玲子）

＝（9月11日付西日本新聞朝刊に掲載）＝

　　　　　　　　なかむら・のりお
グラフィックデザイナー、絵本作家。１９６７年神奈川県生まれ。９７年「中村至男制作室」設立。広告、書籍、ゲームなどのデザインを手掛ける。絵本は「どっとこ どうぶつえん」（福音館書店）「はかせのふしぎなプール」（同）など。

NTT西日本スペシャル　おうちで！絵本ミュージアム2020
特設サイトを来年３月末まで公開。
自作して楽しめるコンテンツや、お薦め絵本の他、アナウンサーによるオンラインの読み聞かせを配信。
西日本新聞イベントサービス＝０９２（７１１）５４９１（平日午前１０時～午後５時）