江口寿史展
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福岡アジア美術館
2020/08/14 |
ARTNEでは、2020年5月21日に他界された福岡市の画家、菊畑茂久馬さんを追悼し、過去、菊畑さんが西日本新聞で執筆した書評や本についてのコラムを連載します。
【第14回】特別製の油絵具『油一』 手づくりで頑張るゾ
先日思いもかけず油絵具が一箱届いた。初めて目にする完成したばかりの、手づくりの特別製油絵具だ。嬉(うれ)しい秋の贈りものに、今わくわくしている。
この春「美術手帖」(美術出版社)のインタビュー取材を受けた。その折「日本にだって油絵具の元祖はあるんですよ。西洋画が伝わる前、手探りで自前の油絵具をつくっていた高橋由一らの油絵具ですよ」と言った。
すると相手は「今、東京芸術大学は創立百二十周年を記念して、ホルベイン工業と共同で油絵具を開発してますよ。絵具の名前は、高橋由一の名をとって『油一』、もうすぐ完成です」と言われた。その油絵具が目の前に届いた。
絵具と一緒に、東京芸大発行の「油一」という冊子が添えられていた。「油絵具の原点に戻り、本格的な理想の油絵具」を目指した五年に及ぶ産学協同研究の成果が、雑談会などで熱く語られている。結局、高橋由一の手づくりの、そして印象派の画家やゴッホが使っていた油絵具に近いものになったという。絵具は時代を映し、新しい時代を創(つく)るのだ。
さあ、今年の秋は、由一伝来の手づくりの油絵具で頑張(がんば)るゾ!(画家・菊畑茂久馬)
▼きくはた・もくま 画家。1935年、長崎市生まれ。57年-62年、前衛美術家集団「九州派」に参加。主要作品に「奴隷系図」「ルーレット」「天動説」の各シリーズ。97年に西日本文化賞、2004年に円空賞をそれぞれ受賞。「絵かきが語る近代美術」など著作も多い。2020年5月に他界。
=2007年10月7日西日本新聞朝刊に掲載=
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