“家族写真”を撮り続ける写真家・浅田政志さんの写真展『私の家族』 アルティアムで開催中【レポート】

　写真家・浅田政志さんの写真展『私の家族』が三菱地所アルティアムで開催されています。写真学校の課題をきっかけに、自身の家族写真を撮り始めた浅田さん。写真集『浅田家』（2008年）で2009年に第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。写真集『浅田家』や『アルバムのチカラ』（2015年）を原案とした映画『浅田家！』が昨年公開されるなど、今最も注目を集めている写真家です。

　同展では、代表作である「浅田家」をはじめ、さまざまな家族を撮った「みんな家族」、東日本大震災の写真洗浄の現場を撮影した「アルバムのチカラ」など約200点の作品が展示されています。

 

ユーモア満載の浅田家に思わず笑いが

　迎えてくれるのは、家族写真の原点という浅田家の年賀状。父・章さんの一眼レフカメラで撮影された兄弟の成長にほっこりします。

　“1枚の写真で自分を表現しなさい”という課題が出されたという写真学校の卒業制作は、浅田家の“空気感”が手に取るように分かる生き生きとした作品ばかり。浅田家全員のなりきりぶりに思わず笑ってしまいます。

　写真集「浅田家」に収録された家族写真は、“浅田家の未来”をイメージしながら約7年間にわたって撮影されたそうです。

　消防士、遊園地でショーの休憩中（？）の戦隊ヒーロー、学校の先生など、バラエティーに富んだユーモアあふれる設定で撮った1枚がずらりと並んでいます。

 

家族の“時間”を語る写真たち

　家族写真を研究したいと始めたプロジェクト「みんな家族」。希望者を募り、どんな写真が撮りたいかを打ち合わせして生まれた作品です。それぞれが思い思いの小道具を準備して、撮影に臨んだそうです。

　育児の大変さが凝縮された一枚、大切な家族への感謝がいっぱい詰まった一枚。一枚一枚眺めていると、素敵な時間をおすそ分けしてもらえているような、そんな幸せな空間となっています。

　東日本大震災の写真洗浄の現場を記録した「アルバムのチカラ」。未曾有の被害を受けた被災地で浅田さんが感じた写真のチカラが一枚一枚の写真に収められています。

 

写真と文章で魅せる新作も

　最後は、新作「私の家族」。写真に登場する本人から見た自身の家族について、被写体による文章と浅田さんの写真で構成した作品です。福岡で撮り下ろした作品が初公開されています。

　会場には、浅田さんの演出によるフォトスポットも。

　併設のショップでは、写真集やオリジナルグッズを販売しています。

 

　「うちのお父さんは、照れずにやってくれるかな？」とか、「おじいちゃんはニコニコ顔で参加してくれそう」とか。ふと自分の家族に重ねながら、一枚一枚を見ていることに気付きます。一枚の写真が、想像以上にそれぞれの“家族の時間”を語っていて、写真が持つチカラを改めて感じる展覧会でした。