江口寿史展
EGUCHI in ASIA
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
秋吉真由美 2021/04/12 |
写真家の梅佳代さんと川島小鳥さんが福岡・天神の街や人を撮り下ろした展覧会「おしまイムズ THE LAST ANNIVERSARY EXHIBITION TENJIN MATSURI 梅佳代『天神さま』 川島小鳥『ピンクの光線』」が、イムズ地下2階のイムズプラザ、同8階の三菱地所アルティアムで開催中です。
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集まった記者たちに照れながらも、福岡の印象や撮影のエピソードなど、じっくりと語ってくれました。拍手で迎えると、「わ~芸能人みたい!」と笑いを誘う梅さん。その隣ではにかむ川島さん。2人の和やかな掛け合いにほっこりしました。
―2人だけの展覧会は初ですが、この企画が決まった時の心境は?
川島小鳥(以下、川島):梅さんとは同い年なんです。松坂世代。大人数で一緒に展覧会をしたことはあったのですが、2人というのは初めてで。2人とも40歳という節目に2人展ができるのが楽しみでした。
梅佳代(以下、梅):私も同じで、小鳥とは以前から友達なんですけど、2人で展覧会なんてなかなかないので、今すごく嬉しいです。40歳の良い思い出になりました。
―福岡・天神での撮影はいかがでしたか?
梅:私は、天神の街を歩き回って撮影しました。被写体の方の言葉も一緒に展示できたら、なんか素敵かしらと思って。撮影したその時の気持ちを自由に書いてもらい、写真と一緒に展示しています。そして、とにかく福岡の人は明るい! 新天町商店街では、抽選会場の赤いコートを着たレディのメッセージの書き方がただものではなくて。「ただものじゃないですよね?」と聞いたら、「やだ~」って(笑) 実は元歌手だったらしく、「福岡はそんな人がいっぱいいますよ」とおっしゃっていました。福岡は元歌手が多いんですね。福岡すごいなと思いました。
川島:僕は、福岡の街に溶け込むにはどうしたらいいのかなと考えて、住もうかなと。不動産屋を紹介してもらって、大濠公園とか小笹とか、実際に物件を内見しました。でも、こんな時期でもあるし、実際に住むのは叶わず…。ホテルに滞在して撮影したのですが、コインランドリーとかは行きました。
梅:何の話なん。(記者たちを見て)みんなメモしとるよ。
川島:(笑)
―川島さんは、天神以外でもいろいろな場所で撮影されていますね。
川島:どんどん友達を増やして、皆さんからお気に入りのスポットを教えていただきました。不動産屋さんにも連れて行ってもらって。ご縁というか、時の流れに…。
梅:身をまかせ?
川島:偶然を逃さないようにしました。
―梅さんの被写体は街の人や天神で働く人など、年齢はもちろん、職業もさまざま。
梅:昔から街角で撮影はしていますが、今回は閉館するイムズの企画ということもあり、天神で出会った人からイムズの警備員さん、清掃員さんなど、普段表には出られていないスタッフの方々にも声をかけて撮影しました。働く人、職人さんが好きなんです。男の人って写真が苦手な方も多いですが、カメラを向けた時の緊張感が写真に反映されて、良い感じになるんですよ。(手足を伸ばす仕草をして)固まって、「どうしていいか分からないです」っておっしゃる方もいるんですが、別に何でも、そのままがいいんですよ。
―撮影前と撮影後、福岡の印象に変化は?
梅:福岡は、何度も来ているのですが、福岡の人は“福岡愛”が強いイメージです。その街が好きな人がたくさん住んでいる街は、お客さんとして来ても楽しいです。また、福岡には親戚のおばちゃんがいるのですが、会うたびに福岡の良さを話してくれます。なので、うちの妹は福岡にあまり来たことがないけど、「目をつぶってでもおばちゃん家に行けると思う」と言っています。なので、撮影前も後も印象は変わらないです。
川島:僕は、以前仕事で来たことがありますが、少し歩くと大濠公園や海があって、自然が近い。食事もおいしくて、やっぱりバランスが良い街という印象ですね。食べ物は、うどんがおいしかったです。
―川島さんは今回、4×5(シノゴ)インチの大判カメラなど、複数のカメラを使って撮影されたとか。
川島:博多にある写真の専門学校に特別講師として呼んで頂いて、学生に撮影している所を見たいと言われて。学生と一緒になって、シノゴカメラで撮影しました。実際に撮影すると、僕自身も楽しくて、そのままシノゴを借りて街でも撮りました。カメラも一つに決められなくて、ホテルの鏡台にずらっと並べて、「今日はコレ!」と三つくらい持って行ったり。
梅:すごいね。首痛い。
川島:福岡の街を散歩する中で、猫に会ったり、古い建物や新しい建物があったり、いろいろなものが同時に混在して、ごちゃごちゃしているけど、調和している。この街で僕が感じたその感覚をそのまま写真にしたかったんです。なので、いろいろなカメラを使って写真のトーンもバラバラにしてみました。
―タイトルに込めた思いは?
梅:じいちゃんが主役の作品は「じいちゃんさま」だったり、私はいつもそのままのタイトルです。今回は天神ということで、天神さまへの気持ちを込めました。小鳥はどんなタイトルにするのかなと思っていました。
川島:タイトルもなかなか決められなくって、すごく悩んで。「この街の合唱」という案もありました。
梅:(記者たちを見て)誰もメモしない。
川島:「プロミスリング」っていう案も。
梅:それもいいね。良いの思いつくね。
川島:「プロミスリング」は、ちょっとセンチメンタルになりすぎちゃうかなと思って、もっと未来っぽいタイトルにしようと生まれたのが「ピンクの光線」です。
梅:未来っぽい!
川島:光線って目に見えるものではないから、ミステリアスな意味合いも込めています。
梅:良いと思う! (アートディレクターの)祖父江(慎)さんが2人のテーマをうまくまとめてくれました。
―2人それぞれのカラーの違いが出ていて、見ていて飽きませんが、お互いの感性に驚いたことは?
梅:小鳥の写真好きです。まさかのロマンティック視線や「それ夢?」と感じる作品は好きで、今回も夢みたい。フワーってなりますよね。
川島:(笑)
梅:「バーン!」とした感じのストレートな私のコーナーがあって、小鳥のコーナーで「フワー」となってください。小鳥の写真は、光の使い方が好きですね。私もそういうの撮りたいんですけど、あんな風に光が入る写真、なかなか撮れないよ。長年やってんだけど、まだコツつかんでない(笑)
川島:僕も梅さんすごいなと思います。とらえる表情とか、すごく枚数をいっぱい撮っているわけではないのに、よくこんな瞬間撮れるなと感心します。僕も今回、同じように声をかけて撮ろうとしたんですけど、すぐに心が折れて。声を掛け続けられるのはさすが。すごいです。やっぱり人間愛にあふれてる。
梅:そう! 小鳥もね。
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2025/01/21(火) 〜 2025/05/11(日)
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2024/10/26(土) 〜 2024/12/01(日)
九州芸文館