江口寿史展
EGUCHI in ASIA
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
2020/09/10 |
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写真展「TOPOS」は、福岡展に先立って岡山県津山市に巡回。8月1日の岡山展最終日には、喜多村さんが写真を担当する西日本新聞連載「人類学者のレンズ」の執筆者、岡山大准教授松村圭一郎さんとのトークイベントが開かれ、連載や展示について語り合った。
遠かったはずが共通点も
「喜多村さんの写真はパッと見よく分からない。自分はこういう写真は撮らないし、遠いと感じたから」
冒頭、松村さんは、連載の並走者として選んだ理由を明かした。同時に作品から「言葉にできるくらいなら写真なんて撮らない」というメッセージを感じ、言葉を基に写真を考えることに抵抗があるのではと懸念もしたという。喜多村さんも「初めてのタイプの仕事。写真がうまく機能するか楽しみでもあり、心配でもあった」と振り返った。
2人の不安は連載1回目で吹き飛んだ。初回は、熊本市出身の松村さんが中学時代に福岡に一人旅した時のエピソードを交え、「『当たり前』の外に出てはじめて自分の姿に気付く」という人類学の第一歩について紹介する内容。その文章に喜多村さんは、一人の女性が窓の外を眺める写真を添えた。東京都庁の展望室で撮った写真で、「なんとなく海にも見えるし、こちら側とあちら側があって、間にも何かがある。いろいろと象徴的だった」と明かした。松村さんも「異世界をのぞいているようなおばあさんの後ろ姿。インパクトがあった」と評した。
「TOPOS」にも話は及び、平和式典を撮影した2枚の写真を松村さんは「世の中はその場にいない出来事ばかり。でも、思いをはせられる。画面と生きている空間。二つのトポスの出合いの場面が強烈だった」。撮影場所がどこか分からない作品が多い点も指摘し、「それが長崎であり、広島である意味を考えさせられる」と語った。
喜多村さんは「国家とか、世界があって私、個人がある。それはどこかで確かにつながっているはず。大きな流れを変えることはできないけど、端っこでジタバタすることはできるかも」と話し、そうした自身の姿勢は松村さんの著書「うしろめたさの人類学」にも重なるように感じるという。その上で「私なりの写真で現在の街をなんとか記録、表現したかった」と今回の展示を振り返った。(小川祥平)
=9月4日付西日本新聞朝刊に掲載=
喜多村みか個展 「TOPOS」
会期:2020年8月8日(土)~9月13日(日)
月曜~水曜休廊
会場:LIBRIS KOBACO
(福岡市中央区大手門3丁目2-26 田中ビル 401号室)
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